公務員が公務遂行中に労働災害に遭遇した場合、それが公務災害として認定されるのかどうかが問題となってきます。公務災害の認定についての判断基準とはどういうものなのか?
地方公務員災害補償制度において、負傷・疾病・障害・死亡が公務上の災害として認められるためには、まず職員が公務に従事していて任命権者の支配管理下にあるとう状況の中で災害が発生したことが前提となります。
そして公務災害と認定される要件として、公務と災害との間に相当因果関係(公務起因性)が要件とされています。実際の認定は、地方公務員災害補償法施行規則と「公務上の災害の認定基準について」に基づいて行われます。
病気については、一般的にその発生原因が外見的にはっきりしないため、認定に当っては公務起因性が有るのかどうかが重要な判断材料になります。
疾病は様々な要素が複雑に絡み合って発症するものなので、職員本人にもともとあった疾病の要因があってそれが発症に影響している場合もあります。その疾病が公務と相当因果関係があるのかどうかの判断はケースバイケースで、医学的な見解も参考にしながら総合的に判断することになります。そして公務がその疾病の発症原因と認定される場合に限って公務上の疾病として扱われ公務災害となります。
通勤災害とは職員が勤務のために合理的な経路、方法による移動の途中において発生した通勤に起因する災害で、居住地と勤務場所との間の往復・複数勤務先がある場合の勤務場所の間の移動・単身赴任者等の赴任先住居と帰省先住居との間の移動に発生した災害のことです。
つまり、職員がその移動経路を外れた場合又中断した場合は、その経路逸脱(中断)の間及びその後の移動中の災害は通勤災害とは認められません。
「逸脱・中断」については職員の意思との関係が問題となることがありますが、合理的な経路上で災害にあった場合は原則的には通勤災害として扱われています。ここでいう合理的な経路における「道路」についてですが、道路は1本の線として考えます。つまり左右どちらを通行していても順路であれば合理的と認められています。また、交差点は点として捉えていて交差点内であればどこの場所でも合理的と判断されます。つまり合理的な経路上の交差点内での災害の場合は、例えば車の進行方向が経路とは認められていない方向を向いていたり、本来の進行方向ではない車線、例えば合理的な経路とは認められていない方向に向かおうとする右折車線を走行し、交差点に進入したところでの災害は通勤災害と認められています。
心臓・脳血管疾患の公務災害認定については、「「心・血管疾患及び脳血管疾患等の職務関連疾患の公務上災害の認定について」の実施及び公務起因性判断のための調査事項について」に基づいて判断されます。
心臓・脳血管疾患は高血圧等の危険因子、加齢、性別、食事、睡眠、家庭生活上での要因、過度な長時間勤務、重労働等の職務上の要因が相乗的に作用することで、発生原因の高血圧症、動脈硬化等が悪化して発症するもので、勤務中、休憩中関係なく発症するものとされています。このため公務と相当因果関係があるものとして公務災害と認定されるためには、公務による精神的又は肉体的に過度な負荷が、発症の原因となる高血圧症、血管病変等の状態を、加齢や一般的な生活によるものを早めて著しく悪化させて発症させたということが、医学的に認められることが必要となります。